秋葉山、妙見山、感応寺山は、山頂の祠が山名になっている、大洲の山山です。
大洲市中心部の北東部、矢落川の流域に位置する柳沢地区を取り囲む山山です。
秋葉山は田処、妙見山と感応寺山は藤縄に位置します。
今回の3山のなかで唯一、由緒が明らかなのは、秋葉山です。
「秋葉山」の名が示す通り、お山には「秋葉山三尺坊大権現」が祀られています。
静岡県浜松市天竜区春野町にある秋葉山。
山岳信仰と修験道で、東海随一の霊山との呼び声も名高いお山です。
その山頂には秋葉山本宮秋葉神社、中腹には秋葉寺が鎮座しています。
祀られている「秋葉権現」は、「火防」の霊験で広く知られています。
徳川家康との密接な関係により、徳川幕府の厚い庇護の下、発展。
秋葉講と呼ばれる講社が全国に結成、分社が勧請されました。
大洲の秋葉山に勧請されたのは、寛政4年(1792)。
柳沢にある宗安寺の住職凡隆和尚自らが遠州秋葉山に出向き、分霊を持ち帰りました。
宗安寺の奥の院、境外神として勧請されました。
以来、火防神として信仰を集めてきました。
現代でも、毎年4月、春の大祭が行われています。
山頂境内の立派なお社は、地区内外の信者により、平成8年に改築されました。
お社の裏には、七福神や観音様が祀られ、巡拝路が整備されています。
また、近年、柳沢地区コミュニティ推進委員会により、山頂付近が整備されました。
柳沢地区全体を見渡せる場所に、展望台と公衆便所が設置されました。
妙見山は山頂に、山名の由来となる妙見神社が祀られています。
このお社が建立された由緒、祭神は不明です。
妙見神社は日本各所にあります。
多くの妙見神社は、北辰妙見大菩薩をお祀りしています。
「北辰」とは、北極星のことです。
「妙見」は、「優れた視力」=善悪や真理をよく見通す者という意味があります。
動かない北極星は、古来、人人を導く存在として信仰の対象とされていました。
古代中国、道教の北極星信仰思想です。
それに、古代インド発祥の菩薩信仰が融合。
妙見信仰は、飛鳥時代に伝来したとみられています。
妙見菩薩の別名は「天之御中主命」です。
「古事記」の冒頭、天地開闢の段に一瞬だけ登場する神様です。
日本には「三大妙見」と呼ばれる神社が存在します。
・八代妙見(熊本県八代市八代神社)
・能勢妙見堂(大阪府能勢町能勢妙見山)
・相馬妙見堂(福島県相馬市、相馬三妙見=中村・小高・太田)
です。
感応寺山は山頂に、山名の由来となる感應地大権現が祀られています。
このお社が建立された由緒、祭神は不明です。
「應」は「応」の「旧字体」で同じ意味です。
「感應」は仏教用語です。
「感」じるのは人人、「応」えるのは仏様。
人人と仏様が相通じること、即ち、信心が神仏に通じるという意味です。
「権現」は、仏や菩薩が人人を救済するため、仮の姿(神の姿)で現れることです。
参道には鳥居、山頂には狛犬、神社があります。
山名にある「寺」 の面影はありません。
けれど、「感應」が仏教用語である以上、感応寺が存在していた可能性もあります。
明治期の神仏分離令による廃仏毀釈・仏教排斥運動の影響も考えられます。
感応寺山三角点の点の記には、「御宮跡」と記されています。
三角点測量時には、現在の拝殿などはなかったようです。
妙見山と感応寺山の間には、「雲海展望台」があります。
大洲盆地では、例年10~3月頃、晴れた日の早朝、雲海が発生します。
標高510mにある展望台から、波打つ雲海を眺望できます。
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